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Special interview BMW M ワークスドライバーに聞く「駆けぬける歓び」

Special interview

BMW M ワークスドライバーに聞く「駆けぬける歓び」

BMW、そして日本への想い。

1966年から続く伝統の耐久レース「鈴鹿1000km」。2019年を最後に休止となっていたこの夏の風物詩が、2025年にインターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)の第4戦として6年ぶりに復活しました。レースは9月12日(金)〜14日(日)。出場するBMW M ワークス・ドライバーのうち、アウグスト・ファルフス選手とケルヴィン・ヴァン・デル・リンデ選手、ラファエル・マルチェッロ選手にインタビューし、2週間後には富士スピードウェイでのFIA世界耐久選手権(WEC)の第7戦「富士6時間レース」も控える3人に、両レースへの意気込みやBMW、そして日本への想いを聞きました。

※本インタビューは2025年9月上旬に実施しました。

SUPER GT

SUPER GT

国内屈指の人気を誇るSUPER GT。GT500 / GT300マシンの混走と、複数のタイヤメーカーによる開発競争、エントリー車種の多彩な顔ぶれにより、世界最高レベルでの戦いが毎レース繰り広げられています。

昨年に引き続き熾烈を極めるGT300カテゴリにM4 GT3で参戦するBMW M Team Studieは、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)の元王者であるブルーノ・スペングラー、そしてSUPER GTで通算4度のチャンピオン経験を誇る柳田真孝を新たにチームへ迎え、荒聖治との強力な新体制で戦いに臨みます。

SUPER GT オフィシャルサイト

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オフィシャルサイト

※外部サイトに遷移します。

左から、アウグスト・ファルフス選手、ケルヴィン・ヴァン・デル・リンデ選手、ラファエル・マルチェッロ選手。

Q.6年ぶりの「鈴鹿1000km」、そしてその後に続く「富士6時間レース」に向けて、今の気持ちを教えてください。

ファルフス選手:

日本には特別な思い入れがある。多くのファンに支えられ、何度もレースを戦ってきた。鈴鹿は、それを最も象徴するサーキットだね。だからこそ力強い走りを見せ、素晴らしい結果を持って帰りたいと思っているよ。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

とてもワクワクしている。鈴鹿は僕のお気に入りのサーキットだから、本当に楽しみなんだ。そして富士が待っている。ひと月に2度も日本に来るのが楽しみな反面、ドライバーにとってこの9月は本当に忙しい月になるね。

 

マルチェッロ選手:

日本は僕が大好きな国のひとつ。だから今は鈴鹿にいるけど、また2週間後に富士へと戻ってこれるのが本当に嬉しいよ。確かに、ケルヴィンが言うようにタフなスケジュールだけれどね。

 

 

Q.BMWでレースをすることについて、あなたが思うその意義とは?

ファルフス選手:

BMWは自分にとって、もはや第2の家族のような存在なんだ。ワークス・ドライバーを務めてもうすぐ20年。よく皆が「君はまさに“BMW Guy”だね」って言うんだけど、これは僕の大きな誇りとなっている。世界中で自分がBMW Mのワークス・ドライバーとして認められていることに、いつも大きな歓びを感じているよ。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

素晴らしいチーム・スピリットを体感しながら、その一員になれるということ。今年のIGTC初戦である「バサースト12時間レース」を勝利で飾れたし、今シーズンのレースのなかで何度もそのスピリットを示すことができたと思う。ドライバー同士も素晴らしい関係性とカルチャーで結ばれている。僕らはチームメイトとマシンを信じて、この週末も最大限の成果をあげるつもりだよ。

 

マルチェッロ選手:

モータースポーツ界でも、世界でも、BMWは最も偉大なブランドのひとつだと思う。そのマシンをサーキットで走らせることができるのは、これ以上なく幸せなことだね。僕は今年、「ニュルブルクリンク24時間レース」を制するという偉業を達成することができた。その時みたいに鈴鹿でもまた、チームメイトたちと勝利を歓べることを願っている。

Q.チーム・スピリットという話が出ました。あなたがこのチームで“M”のスピリットを感じるのは、いったいどんな瞬間でしょうか。

ファルフス選手:

うーん、そうだな。世界中どこでも、サーキットやピットにたくさんのファンが集まって、マシンを写真に収めようとする姿には圧倒されるよ。ファンたちも大きな“チーム”の一員なんだ、と改めて実感するんだ。そして、彼らが家に持っているような市販のMモデルを、僕も普段乗っている。その時、ファンとのつながりを良く感じられる。これが、Mが素晴らしいと思える瞬間だね。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

特にレース前の最終ミーティングの際に、チーム全員が集まった時に、何か鋭いものを感じたんだ。それがいわゆる“Mの真髄”みたいなものなんじゃないかな。多くの時間をともにしてきたクルーやドライバー同士の結びつきは、絆とも呼べるぐらい強固なものになっていると思う。そこに生じる“Mの真髄”のようなものが、僕たちにさらなる強さ、パワーを与えてくれるんだ。

 

マルチェッロ選手:

なにより、居心地がいいことかな。ドライバー同士が本当に仲良くやっていて、輪になって話したり、一緒に夕食へ出かけたりするんだ。一般的な事のように聞こえるけど、レースの現場ではチーム間やドライバー間での摩擦はつきものだからね。でも僕らは違う。今回も鈴鹿に来る前に東京で2日間一緒に過ごしたんだけど、常にとてもリラックスした雰囲気だった。僕は“これこそがMだな”と思うね。

Q.では、今度はマシンをドライブしている時について。あなたはどんな点で“M”を感じるでしょうか。

ファルフス選手:

変に聞こえるかもしれないけど、ピットレーンを走っている時、常に誰かが自分のマシンに視線を送っていることだね。どこかのサーキットへ向かう時、BMWをドライブしている人は“M”の意味を実感すると思う。つまりピットレーンを走り始めると、人々が自分が運転しているマシンを見つめるんだ。それも大いなる情熱をもって。僕がステアリングを握っていた時と同じようにね。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

僕は今年からBMW Mの一員になったんだけど、なんといってもマシンが奏でるサウンドだね。これまでドライブしたどのマシンとも明らかに違う、独特のサウンド。本当に新たな体験で、これが“M”なのか、と実感したよ。

 

マルチェッロ選手:

まずは、マシンのシェイプかな。このBMW M4 GT3 Evoは大きいが故のメリットもデメリットもある。だからドライバーは、それらを克服する強大なパワーを求めるんだけど、このマシンは加速性能が非常に優れているんだ。そしてターボならではのエンジン・サウンドもとても魅力的だと思う。レースでマシンを運転していると、この“M”の加速とサウンドに、いい意味で感覚を揺さぶられるんだよ。

Q.今シーズンあなたが駆るマシンについて、どんなところが好きですか?

ファルフス選手:

このBMW M4 GT3 Evoには開発段階、それも最初の数日間から僕は深く関わっていたんだ。だからこのマシンのどこ、というよりも、このマシンが世界中のレースで勝つのを人々が目にする、その瞬間が好きだね。そこにほんの少しだけ、自分という存在も含まれていると思うから。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

BMW M4 GT3 Evoは僕にとって、かなりユニークなタイプのマシンなんだ。だからちょっと慣れるのに時間が掛かってしまっているけど…。でも高速コーナーの安定性はピカイチなので、今の鈴鹿のレイアウトにはとても相性の良いマシンだと思うよ。

 

マルチェッロ選手:

BMW M4 GT3 Evoは高速サーキットでのバランスが特に優れていると思う。でもどんなレイアウトでも、かなり速く走ってくれるよ。そしてWECの方で乗っているBMW M Hybrid V8は、圧倒的なダウンフォースがあって高速域の伸びがとても良いのがいいね。まさに“Hyper Car”の名に相応しい、特別なマシンだよ。

Q.鈴鹿など、日本のサーキットについてはどう思う?

ファルフス選手:

わお、良い質問だね。世界中どのサーキットでも、パドックにいるドライバーたちに“世界で最も素晴らしいサーキットを5つ挙げてくれ”って頼んだら、必ず鈴鹿がそのうちのひとつに選ばれると断言できるよ。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

日本のサーキットはレイアウトが非常にユニークで、かつオールドスクール。僕は好きだし、本当に走るのが愉しいんだ。鈴鹿、そしてもちろん富士も、BMWの性能を存分に引き出してくれるしね。

 

マルチェッロ選手:

鈴鹿は僕にとって、あらゆる意味で特別なんだ。昔ながらのスタイルの素晴らしいレイアウト。でも2014年に親友が不幸な事故に遭ってしまったのもここだった。だから辛い思いも、心のどこかにあったりする。でも、世界最高のコースのひとつなのは確かだよ。

Q.ファルフス選手は2022年に、Team StudieのドライバーとしてSUPER GTを戦いました。日本での日々を振り返って、そしていま鈴鹿に戻ってきて、何を感じますか?

ファルフス選手:

本当に懐かしいことが多いよ。SUPER GTでの1年間は、BOB(Team Studie代表の鈴木康昭氏)と一緒にチームを率いた。彼らとは家族同然の付き合いで、今年のチームよりもさらに深い絆で結ばれていたと思う。日本の文化についても多くを学ぶとともに、SUPER GTに参戦していたほぼすべての日本人ドライバーとも知り合うことができた。あれは本当に特別な1年だったよ。

それ以来今回まで、なぜか鈴鹿に来る機会は一度もなく、今やっと再び来ることができた。こうして日本でレースができるなら、僕は間違いなく笑顔になる。そして良き友人であるBOBにまた会えるなら、これ以上のことはないね!

Q.皆さんを心待ちにしている日本のファンについて、どんな印象を抱いていますか?

ファルフス選手:

彼らはとても親切で、誰もが特別だと我々に感じさせてくれる。日本で過ごしたあの1年、彼らは僕らに接する時はとても礼儀正しく、レースの際はグランドスタンドで大きな旗を掲げ応援してくれた。こんなのは日本だけの光景だよ。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

日本のファンは、本当に素晴らしいよ。ドライバーがサインする時も急かすことはないし、ささやかなプレゼントをくれたりもするんだ。本当に、自分にとって特別な存在だね。そして今回は6年ぶりの「鈴鹿1000km」だから、日本のファンに再び会うのが待ち遠しいよ。

 

マルチェッロ選手:

彼らはとても情熱的な一方で、とても冷静なんだ。集中力を高めたい場合など、僕らが望まない時には近づいてこない、というような相手の空間を尊重するその判断が、驚くほど正確なんだよね。素晴らしいと思う。

Q.誰かがあなたのレースを初めて観戦するなら、どこに注目してほしい?

ファルフス選手:

そうだね…。僕のBMWだけ見てほしいかな(笑)。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

見どころは、表彰台かな。夜になると、鈴鹿の表彰台はいつも特別な空間になるんだ。グランドスタンドは満員で、観客が振る色とりどりのLEDライトが揺れている。まさに特別な光景だよ。そしてそれを、僕はぜひ表彰台のいちばん高いところから見たいね!

 

マルチェッロ選手:

ダウンフォースが効くぶんオーバーテイクが容易になるので、常に何らかのバトルがコース上で起こっているのがGTレース。一瞬一瞬の激しい駆け引きを見逃さないようにしてほしいね。

Q.では最後に。BMWの「駆けぬける歓び」を、あなたならどう表現しますか?

ファルフス選手:

それは、言葉では言い表せないよ。実際にBMWをドライブして、その歓びや愉しさを自分自身で存分に感じてほしい。

 

ヴァン・デル・リンデ選手:

マシンのなかでは、僕はもちろん“究極の歓び”を感じているよ。何せ、世界中でBMWを駆ってレースをできるのだから。駆けぬける、その1kmごとに歓びと自由を感じているよ。

 

マルチェッロ選手:

人々がBMWのMモデルを購入する時、そこには“M”というブランドに対する強い情熱が伴っていると思うんだ。オーナーにとって、単なるクルマ以上の“家族”のような存在。その“家族”を大切に乗っている姿を見る時、僕はそこに真の「駆けぬける歓び」を見る気がする。

走行開始前の9月11日(木)、忙しいスケジュールの合間を縫ってのインタビューでしたが、3人ともどこかリラックスした表情で、丁寧に答えてくれました。それはインタビューでのなかでも触れられていた、チームの“雰囲気の良さ”の体現だったのかもしれません。

翌12日(金)、通常とは異なる“GEN M”の特別なリバリーを纏い鈴鹿のコース上へと現れた31号車と32号車、2台のBMW M4 GT3 Evoは、不安定な天候に左右されながらも順調に予選前のセッションを消化していきます。13日(土)の予選は計3度の赤旗が入る荒れた展開となり、予想外の夜間でのアタックとなりましたが、32号車(ラファエレ・マルチェッロ/ケルヴィン・ヴァン・デル・リンデ/シャルル・ウィーツ)が見事ポール・ポジションを獲得。31号車(アウグスト・ファルフス/ダン・ハーパー/マックス・ヘッセ)も8番手に食い込みました。

翌14日(日)の12時50分に決勝がスタート。ポール・ポジションからスタートした32号車は、フル・コース・イエローの実施やセーフティカーの導入が繰り返されるなかでも順位を落とすことなく、安定して周回を重ねてゆきます。途中31号車が2番手へと浮かび上がり、BMWの1-2体制となることもありましたが、ピットのタイミング等で31号車はやや後退してしまいます。しかし32号車はトップを守り、見事な完勝で6年ぶりに復活した「鈴鹿1000km」を制しました。31号車も6位に入賞しポイントを獲得。BMWはマニュファクチャラー・ランキングの首位を守りました。

 

 

そして、9月26日(金)〜28日(日)には富士スピードウェイでのFIA世界耐久選手権(WEC)の第7戦「富士6時間レース」が開催されました。現地のレポートはこちらからお届けします。

LINKS

BMW M

BMW M

「M」の称号。それは、BMWがサーキットで鍛え上げた、スポーツドライビングの証。M1から連なるレーシングカーのDNAは、今なお進化し走り続けている。サーキットから享受されたノウハウを反映し、ハイ・パフォーマンスとテクノロジーを融合させたMモデルのラインナップは、時代を超えてますます加速を続ける。

BMW BELIEVES in Motorsport

BMW BELIEVES in Motorsport

多くのモータースポーツへの参戦をDNAに刻むBMW。BMW & MINI Racingやさまざまなドライビングイベントのトピックスを発信中。

PROFILE

アウグスト・ファルフス

アウグスト・ファルフス

Augusto Farfus
1983年9月3日 ブラジル クリチバ出身
ポケットバイクのモトクロスを出発点に、レーシング・カートからフォーミュラへとステップアップ。2003年にユーロF3000選手権でチャンピオンを獲得したのち、活躍の場をツーリングカーへと移す。2007年にBMW Mの一員となり、2010年にはニュルブルクリンク24時間レースを制した。
その後も2018年のFIA GTワールドカップ・マカオ優勝や2019-20年にかけてのデイトナ24時間レース連覇など、輝かしい戦績を誇る。BMW M Motorsportのワークスに加入して19年目のシーズンを迎えるが、未だその意気は衰えない。
趣味はラジコン飛行機の製作と操縦、好きな食べ物はイタリアンと和食、そしてもちろんブラジル料理。

ケルヴィン・ヴァン・デル・リンデ

ケルヴィン・ヴァン・デル・リンデ

Kelvin van der Linde
1996年6月20日 南アフリカ ヨハネスブルグ出身
レース一家に生まれ、数度のレーシング・カート南アフリカ・チャンピオンを獲得。その後ヨーロッパへと渡り、GTレースへと参戦を開始する。2014年と2019年にADAC GTマスターズのチャンピオンに輝いたほか、2017年と2022年のニュルブルクリンク24時間レースを制している。BMW M Motorsportには2025年より加入。弟のシェルドンは2019年からBMW Mのワークス・ドライバーを務めており、兄弟ともにBMW M Motorsport所属となった。
趣味はテニス、ゴルフ、トライアスロン。好きな映画は『ミニミニ大作戦』。

ラファエル・マルチェッロ

ラファエル・マルチェッロ

Raffaele Marciello
1994年12月17日 スイス チューリッヒ出身
2005年にレーシング・カートでデビューすると、フォーミュラへと進み2013年にはヨーロッパF3選手権でチャンピオンを獲得。その後はGTレースへと軸足を移し、2018年にブランパンGTシリーズで、2022年にはADAC GTマスターズでそれぞれドライバーズ・タイトルを獲得。2022年のスパ・フランコルシャン24時間レースも制した。BMW M Motorsportへは2024年に加入。今シーズンはFIA WEC(世界耐久選手権)にも参戦、BMW M Hybrid V8を駆る。
趣味はビデオゲームやサイクリング。お気に入りの街は東京。

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