“人生に、駆けぬける歓びを。”のコンセプトのもと、日本独自で展開されるプロジェクト「BMW BELIEVES」。そのひとつとして、今回は東京・麻布台ヒルズに所在するブランド・ストア『FREUDE by BMW』にて、カルテット・シュトゥルムによる弦楽四重奏コンサートを開催いたしました。東京藝術大学での講義を期にカルテットを結成し、サントリーホール室内楽アカデミーの第8期フェローでもある新進気鋭の奏者たちによる、溌剌とした調べ。次世代への大いなる可能性を感じられたコンサートの模様をレポートいたします。
BMW BELIEVES
その歓びは、いつだって新しい。
BMWは長きにわたり、グループ全体で芸術および文化振興のためのさまざまな活動に積極的に取り組んできました。これまで実現したプロジェクトの数は全世界で優に100を超え、多様なパートナーとのコラボレーションが生むユニークな体験や出会いによって、交流、革新、創造の新たな機会をもたらしてきました。
今回、日本における芸術や文化、スポーツの発展をさらに推し進めるために開始された新たなプロジェクト「BMW BELIEVES」。
“人生に、駆けぬける歓びを。”というコンセプトのもと、BMW Japanではクラシック音楽とゴルフ、そしてモータースポーツの分野を中心に、継続的なサポートを行ない、さらなる発展に向けてともに歩んでゆきます。
感性が出会い、新たなる想いが生まれる場。
2025年9月25日(金)。暦の上では秋分を過ぎたとはいえ、まだまだ暑さの残る夕刻。ブランド・ストア『FREUDE by BMW』へは、午後6時の開場と同時にお客様が来場。エントランスでは漆黒を身に纏ったBMW X5の限定モデル「Edition Shadow」が人々を出迎えます。シックに研ぎ澄まされたそのエクステリアはもちろん、ドアを開きインテリアの細部にまで見入る方や、ストア内の「CAFÉ & BAR B」にてドリンクを愉しまれる方など、お客様それぞれが開演までの時間を思い思いに過ごされていました。
午後7時、司会より開演のご挨拶。「BMW BELIEVES」の概要とともに、展示されている「BMW X5 Edition Shadow」のコンセプトや世界観の説明が。そして同モデルのルーフ・ライナーに採用されている「ALCANTARA®️」とのコラボレーションによる特別なバッグと、高岡銅器の名匠「能作」が手がけたオリジナル・ビアカップもご紹介させていただきました。
より良い表現を追い求め、4つの魂が響き合う。
会場が静まると、「BMW X5 Edition Shadow」の脇からカルテット・シュトゥルムの4名が登場。客席に向かって左から、城野聖羅さん(第1ヴァイオリン)、松北優里さん(第2ヴァイオリン)、長谷山博史さん(ヴィオラ)、髙木優帆さん(チェロ)の順にスタンバイ。準備が整い、いよいよコンサートの幕が開きました。まず最初の曲目は、モーツァルトの「弦楽四重奏曲第14番 ト長調 KV 387『春』第1楽章」。当時強く影響を受けていたハイドンに捧ぐ弦楽四重奏曲の第1曲目として、26歳のモーツァルトが発表したこの曲。その第1楽章は特に清新な印象、密度の濃い若々しさにあふれています。
演奏を終えると、拍手が収まるのを待ってメンバーの紹介が。18世紀後半にドイツで起こった、芸術分野における感情の解放と独創性を主張した運動「Sturm und Drang(シュトゥルム・ウント・ドラング)」に由来したカルテット・シュトゥルムについては、結成の際に4人でより良い表現とは何かを追求することを目指し名付けたと、その名に込められた思いを語っていただきました。
一人ひとりの情熱が、聴衆の心へと訴えかける。
続いての曲は、ベートーヴェンが30歳前後の時期に作曲された「弦楽四重奏曲第5番 イ長調 Op. 18-5」より、第1楽章と第3楽章。モーツァルトからの影響が見受けられ、ベートーヴェンらしい強烈な主張を感じさせる旋律からはやや離れたとも言えるこの曲。しかしそれは翻って、曲への親しみやすさや心地よさを聴く者に感じさせます。ソナタ形式の第1楽章から、演奏前に「変化に富んだ旋律」との説明があった第3楽章へ。4人が奏でる優美な旋律に、ある人は頷きながら、ある人は目を閉じ全身で、聴衆が曲の世界へと入り込んでいました。
そして3曲目。ドビュッシーの「弦楽四重奏曲 ト短調 Op. 10」が演奏されます。生前ドビュッシーが形にした唯一の弦楽四重奏曲であり、同時に彼の現存する作品のなかで、唯一作品番号が与えられた曲でもあります。伝統に則った4楽章構成。しかし奏でられる旋律には、古典的な教会旋法等を活用しつつも、それまでに誰も気づくことのなかった繊細な響きが表現されています。
自らの信念を貫く意志が、歓喜を呼び起こす。
1889年のパリ万博で耳にしたジャワのガムランなどからの影響も指摘される、近代的ともいえる美しい調べ。しかし発表当時、その評価は賛否相半ばするものでした。初めて触れる斬新な響きを“シンプルでありながら複雑な、極めて魅惑的な芸術”だと称賛する者がいる一方で、多くの聴衆は“単なる不協和音”と冷淡な反応を示したと言われています。
そのような評に一喜一憂することなく、常に自らの美学に従って新たな視点と表現を追求し続けたドビュッシー。その精神を体現するかのように、若き4人の演奏にも熱が入り、さらなる高みへと自らを鼓舞してゆきます。緩急自在に紡がれる音色。ドラマティックかつ力強く、色彩感にあふれた約25分間の物語を、見事に聴衆の心に届けました。
奏で終わると同時に、カルテット・シュトゥルムに盛大な拍手が贈られます。自分たちが持てるパフォーマンスを出し切った4人それぞれの顔は、充足感で満ちています。そして、これからの時代を担う才能との甘美なる出会いを堪能した聴衆たち。終演後のお客様の表情には、大きな感動と歓びがあふれていました。
BMW Japanでは「BMW BELIEVES」プロジェクトのもと、クラシック音楽をはじめとした文化振興のために、今まで以上のさまざまな支援活動に取り組んでゆきます。
※ALCANTARAは、Alcantara S.p.A.の登録商標です。