現在、ウェブサイトの一部機能がご利用いただけません。

クッキー管理ツールが一時的にオフラインになっているため、ウェブサイトの一部機能がご利用いただけない場合がございます。

新型「iX3」が日本初上陸、“ノイエ・クラッセ”が拓くBMWの新時代

新型「iX3」が日本初上陸、“ノイエ・クラッセ”が拓くBMWの新時代

※このページはWIREDの記事より転載したものです。


TEXT BY WIRED STAFF AND YUSUKE OSUMI
PHOTOGRAPHS BY SHINTARO YOSHIMATSU


9月に世界初公開されたBMWの新型「iX3」が、ジャパンモビリティショー2025でアジアで初めてお披露目された。「ノイエ・クラッセ」の第1弾として新たなデザイン言語を身にまとった新モデルを皮切りに、いかにBMWは新たな時代を切り拓いていこうとしているのか。

BMWが「ノイエ・クラッセ」という言葉を初めて用いたのは、1960年代のことだった。日本語で「新しいクラス」を意味するこの言葉は、未来へとつながるBMW全体の長期的な変革を象徴していた。このとき投入された「BMW 1500」を皮切りに「中型スポーツセダン」という“新しいクラス”が誕生し、そこから連綿と続き発展していったのである。


それから半世紀以上を経て、自動車産業が転換期を迎えようとしている時期に、BMWは再び「ノイエ・クラッセ」という名称を打ち出した。2023年に「BMW Vision Neue Klasse」を、昨年2024年には「BMW Vision Neue Klasse X」という、2台の電気自動車コンセプトモデルを、これからの時代に向け、発表したのだ。

BMWが2024年に発表した電気自動車(EV)のコンセプトモデル「BMW Vision Neue Klasse X」(左)と「BMW Vision Neue Klasse」(右)。

BMWが2023年に発表した電気自動車(EV)のコンセプトモデル「BMW Vision Neue Klasse」(右)と2024年に発表した「BMW Vision Neue Klasse X」(左)。


そのデザインはBMWらしくありながらEVとしての機能性を備え、それでいて1960年のノイエ・クラッセの美学を明確に受け継いでいる。「すべてのプロポーションとバランスなどを考えながら、それを再定義していきました」と、BMWコンパクトクラス、ノイエ・クラッセ、Mモデルのデザイン責任者を務めるオリバー・ハイムラーは語る。「多くの要素が“過去”を思い起こさせるように仕上げていますが、電動化の時代に向けて再解釈し、再定義しているのです」


つまり、「ノイエ・クラッセ」とは単なるリバイバルやオマージュではない。「新時代への旅立ち」に向けて旗を掲げるための象徴となる概念といえるだろう。


そんな新時代の「ノイエ・クラッセ」の先陣を切る第1弾のモデルを、BMWがこのほど日本では初めて披露した。SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)の新型「iX3」は、ハイムラーが言うところの「次なる新しいBMWファミリーの代表」となるモデルだ。BMWのカスタマー・ブランド・セールス担当取締役であるヨッヘン・ゴラーによると、「BMWの新しい時代の幕開け」でもある。

「ジャパンモビリティショー 2025」の会場で披露された新型「iX3」。次なる新しいBMWファミリーの代表となるモデルだ。

「ジャパンモビリティショー 2025」の会場で披露された新型「iX3」。次なる新しいBMWファミリーの代表となるモデルだ。

インテリアやユーザーインターフェイス(UI)も全面刷新された。センターディスプレイが斜めになっているのは、ドライバーが運転中でも操作しやすいことを意識したデザインだからだ。

インテリアやユーザーインターフェイス(UI)も全面刷新された。センターディスプレイが斜めになっているのは、ドライバーが運転中でも操作しやすいことを意識したデザインだからだ。

まったく新しいデザインとともに


だからこそ、iX3には次世代のEVとしてベンチマークになる技術が組み込まれている。完全EV専用プラットフォームを採用したことで軽量化と室内空間の拡大を実現し、さらにEVの重要な要素のひとつである航続距離は805km(WLTPモード、暫定値)を達成。800Vのシステムを搭載したことで、800V対応の急速充電ステーションなら350km以上も走行できる電力を、理論的にはわずか10分で充電可能になった。


デザインは「ノイエ・クラッセ」のための新たなデザイン言語によって全面刷新された。BMWを象徴するデザイン要素でもあるフロント中央のキドニー・グリルは、1960年代のノイエ・クラッセを思わせるクラシカルな印象を醸し出している。だが、縦型のグリルを縁取るクロームの代わりに照明が採用され、その外側には運転支援システムに用いるレーダーが配置された。


また、航続距離に大きく影響する空気抵抗を抑えるべく、車体の上半分(グリーンハウス)がリアに向かって細くなり、車高も抑えられている。車体の下を通る空気の流れやホイールのデザインといった細部まで意識して、空気抵抗を減らすためにつくり込まれたという。「EVであることを考えると、エアロダイナミクスのために多くの部分に手を加える必要がありました」と、ハイムラーは語る。

BMWコンパクトクラス、ノイエ・クラッセ、Mモデルのデザイン責任者を務めるオリバー・ハイムラー。

BMWコンパクトクラス、ノイエ・クラッセ、Mモデルのデザイン責任者を務めるオリバー・ハイムラー。

「ソフトウェア・ディファインド」の時代

そして、外側からは見えない“ノイエ・クラッセらしさ”を忘れてはならない。走りや乗り心地にまつわるハードウェアやソフトウェアなどの高度なテクノロジーで、どれもiX3に初めて搭載されたものだ。


iX3には「スーパーブレイン」と呼ばれる自社開発の4つのコンピューターユニットが初めて搭載され、ドライブトレインとドライビング・ダイナミクスを制御するシステム「Heart of Joy」と組み合わされている。これはドライビング・ダイナミクスのみならず、自動運転やインフォテインメント、利便性や快適性を高めるためのベーシック&コンフォート向上機能をつかさどるもので、いわば移動中の体験すべてをソフトウェアによって制御するための“頭脳”といえる。つまり、電動化時代における重要な要素である「ソフトウェア・ディファインド」の中核となる存在だ。


これによって、何が実現しているのか。「コンピューターの処理速度が従来と比べて2倍、3倍どころか、10倍まで上がっているんです」と、BMWの日本法人でマーケティング活動の責任者を務めるフス・カール・秀樹は説明する。その結果、乗り心地や走り心地、そして運転支援システムの動作までもが「別次元」といえるほど大きく進化したというのだ。


新型iX3のプロトタイプモデルを試乗する機会があったというフスによると、「ドライブフィールがまったくの別次元」だったという。「BMWブランドの中核をなす『駆けぬける歓び』を保ちながらも、新時代が到来したことを感じとれる。ぼく個人としては、そうした見えない部分にある“Heart of Joy”がいちばん印象的でした」

(Edited By Daisuke Takimoto)

BMWの日本法人でマーケティング活動の責任者を務めるフス・カール・秀樹は、乗り心地や走り心地、そして運転支援システムの動作までもが「別次元」といえるほど大きく進化したと語る。

「駆けぬける歓び」の再定義

 

一方で、こうした技術が進歩していった先の時代において、BMWは運転が完全に自動化されてドライバーや運転席が不要になるような世界線を目指しているわけではない。あくまでドライバーが主体となって「駆けぬける歓び」を実感できるようにすることを、BMWは目指している。「BMWにとって自動運転とは、ドライバーの代わりではありません。支え合っていくようなイメージで考えています」と、フスは語る。


こうしてBMWは、電動化とソフトウェア・ディファインドの時代における「駆けぬける歓び」を、最新テクノロジーによって再定義した。そして2027年末までに、ノイエ・クラッセのDNAをもつ40車種の新モデルをグローバル展開する計画を打ち出している。それは日本も例外ではなく、新型iX3の日本上陸は2026年夏以降となる予定だ。


「100年以上の歴史を振り返ってみてもありえなかった、非常に大胆かつ楽しみな転換期をこれから迎えることになります」と、フスは期待を込めて言う。「そんな時代でもBMWは常にドライバーに寄り添い、『駆けぬける歓び』を大切にする。それは未来においても変わらないのです」

(Edited By Daisuke Takimoto)

(Edited By Daisuke Takimoto)

■関連情報

ニューBMW iX3

ニューBMW iX3


BMWの美学を現代的な感覚によって再構築した、ニューBMW iX3のデザイン。美しく均整の取れたエクステリアはひと目で心を惹きつけ、上質さと機能性を両立したインテリアはいつまでもその空間に身を置いていたくなるような心地よさをもたらしています。また、BMW伝統のドライバー・オリエンテッドな設計思想を進化させたBMWパノラミック iDriveが、より優れた直感性と快適性を実現。シンプルな操作でクルマとの一体感や没入感も味わえる、未来志向のコックピット体験が待っています。


※ニューBMW iX3の日本導入は、2026年夏以降を予定しております。最終的な仕様および販売状況は変更される可能性があります。
 

END