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日比崇幸と紐解く、「BMW XM」の今と進化。その魅力とは?

  Toshiyuki Imae

日比崇幸と紐解く、「BMW XM」の今と進化。その魅力とは?

※このページは「Esquire 日本版」の記事より転載したものです。

もちろんBMWといえば「駆けぬける歓び」だが令和の今、電動化やSUV、エクスペリエンスが重視される時代に、それはどう進化しているか? その究極にしてひとつの回答が、2026年モデルから生まれ変わった「THE XM Label」だ。今回は国内わずか44台の限定モデルとしてマットブラックのボディカラーをまとった「THE XM Label Frozen-Style Edition」に、ヴィンテージ・ロレックスを扱うプロにして車歴の上でも‘良いモノ感’豊かな車を多々乗り継いできた、「クラウン マニアックス トウキョウ」のオーナー、日比崇幸さんに試乗してもらった。

 By Kazuhiro Nanyo 公開日:2025/10/31

 frozen Toshiyuki Imae

ワイルドかつインテリジェンスを感じさせるデザイン

Esquire:まずは日比さんのBMW体験と、車歴の中に数えられるモデルについて教えててください。

 

日比崇幸さん(以下日比):BMWはE46の318iと3シリーズ・アクティブハイブリッドを所有していました。乗る前は、BMWブランドへの憧れから入ったのですが、どちらも走りが鮮烈で楽しかったですね。

 

Esquire:車選びの基準は、「走り重視」ですか?

 

日比:それが、そうでもなくて。ゴルフ好きなので、普段乗る車は、遠くに行くの楽なこと。するとある程度、大きい車でパワーがある程度ないとしんどいと感じます。趣味で走らせる車はもう本当に古いのが好きで、基準はあまり自分でも分からないですが、やっぱり走らせて楽しい車のほうに魅力の感じる性分ですね。

 

Esquire:今回試乗いただいた「THE XM Label Frozen-Style Edition」は、いかがでしたか?

 

日比:乗る前にトルクが1000Nm、パワーが550kW(748ps)と聞いて、多少のけぞりました(笑)。kW表示だったからEV(電気自動車)かと思いきや、V8ツインターボのPHEVでシステム総計が750ps近くもあると…。

 

Esquire:確かに、ちょっと面食らっちゃいますよね。最初に見たときの外観、静的な印象はいかがでした? 結構、好き嫌いがぱっくりと分かれるデザインかもしれません。

 

日比 :時計を選ぶ場合も最初は第一印象で気にいるかどうかが大事。でも長く大切にできる時計って、細部のディテールに愛せる部分があるものなんです。
ぱっと見で「大きいな」「迫力あるスタイリングだな」と思いました。 ボリュームや力強さはアメ車に通ずるものを感じたのですが、カクカクしているというより切れ上がったラインも多用されていて、細やかなまとまりは欧州車、ドイツ車らしいな、と思いました。

 

──── 日比さんが指摘したその存在感の核となるのは、‘プログレッシブ・フロント・エンド・デザイン’と名づけられたフロントフェイスだ。伝統のキドニー・グリルは八角形で外側にかけて細められ、サルーンのi7とは異なる処理ながらイルミネーションに縁取られたラグジュアリー専用フェイスだ。上下2列に分かれたスプリットヘッドライトも最新世代の特徴で、ワイルドでありながら知的さ、ボンネット下のエンジンの存在を静かに主張する。じつは計算されたデザインでもある。

Toshiyuki Imae

Esquire : マットブラックのボディカラーについては、いかがですか?

 

日比 : この質感がフローズンなんでしょうね。でもアンダーガードやサイドガーニッシュ、ホイールなどボディ下部には黒い光沢が効いている。このコントラストが、黒靴のトゥが光って締まるスーツスタイルみたいな、そういう雰囲気を感じましたね。

 

Esquire : なるほど、確かに近い感覚かもしれません。

 

日比 : ええ、全体的に鉄の塊のような存在感を強めながら、エレガントさもしっかり強調している。

 

Esquire : あと、横から眺めた際のアクセントバンド。THE XM LabelはBMW M専用モデルとして47年ぶりに登場したそうで、初期のスーパースポーツ「M1」のアクセントバンドを受け継いだものだそうなんです。

 

日比 : M1にまで遡(さかのぼ)るんですか。過去のヘリテージを活かしたモデルという訳か。

 

Esquire : スポーツカーやセダン、ツーリングワゴンではなく、M専用モデルがSUV的な車型で登場するところが、今の時代のトレンドなんでしょうね。

 

日比 :ヴィンテージ時計の世界にもエレガントな2針、3針の高級時計と並んで、スポーティなスペシャルモデルも存在していて、僕も含めて後者を好む方も多いです。そう考えるとSUVタイプのM専用モデルという点に響く方は多いんじゃないですか。

 

── 内外装の強烈なデザイン性もそうだが、サルーンやツーリングワゴンの既存ボディに充てられる“M”とも、ひと味違う存在。そこがTHE XM Label のコアだというのだ。

Toshiyuki Imae

限定車では23インチMライトアロイホイールも選ぶことができる。

走らせればわかるMの系譜と、今あるヴィンテージ感

Esquire : 車内に乗り込んでみて、インテリアの雰囲気はどのように感じられました?

 

日比 : いい意味で、BMWに乗っているな、と感じました。昔ながらの、直線基調のコクピットなんですが、かなりモダンになっている。ドライバーが計器類に囲まれる感覚で、乗った瞬間にスポーティ。今どきの電動車って、真ん中にタブレットのようなタッチスクリーンがあって、という左右対称だと思いますけど、THE XM Labelはドライバーオリエンテッド、ある意味、潔くエゴイストですらある。

 

Esquire : M専用モデルですから、逆にX7には設定されるサンルーフが無いそうなんですよ。今のSUVは、大きなルーフを活かしてパノラマサンルーフっていうのが定石なのですが。

 

日比 : なるほど。でも天井は立体的なプリズムを利用したアンビエントライトというか、囲まれ感あるリアシートも特徴的ですよね。

 

Esquire : ええ、コクーン(繭)のような空間を狙っているそうです。

 

日比 : すごく多面的なコンセプトですよね。ビースト的なエクステリアに、守られ感のあるインテリア。ドアパネルのレザーはパティーヌ加工のようなヴィンテージ仕上げでクラフツマンシップも忘れていない。でもドライバーはドライビングにとことん集中させてくれるという、骨幹はブレていませんね。

 

びっくりしたのは、カーボンの筋目にレッドやブルーが入っていてM仕様になっているところ。オーナーからすると、それもキュンとするポイントでしょう。

 

Esquire :そう考えると確かに。外装はマットブラックで、内装は意外と落ち着いた雰囲気の中に、差し色というかシグネチャーも効かせています。また、シフトコンソール上の車名プレートは、じつは日本の燕三条市で加工された金物によるもの。

 

日比 : レザーにもパティーヌのようなヴィンテージ加工が施されて。それに内装トリムのナイトブルー×ブラウンの組み合わせが、イタリア人の好きなアズーロ・エ・マローネです。ヴィンテージってただ旧いものを後生大事に鑑賞するんじゃなくて、毎日接していて造りの良さやクラフトマンシップが感じられるものだと思うんです。だから新しいものでもヴィンテージはありうる。

Toshiyuki Imae

 

Toshiyuki Imae

※画像は日本仕様とは異なります。また、オプション装備等を含む場合があります。

Esquire : なるほど。確かにこちらは限定車ですが、THE XMの通常シリーズも2026年モデルからはパーソナライズ&カスタムできる範囲が広がったそうなので、’Myヴィンテージ’な感覚が大切なんでしょうね。ただ車の場合、走りが占めるところが大きいと思うのですが、それは古びてしまわないですか?

 

日比 : それが、乗ってみるといろいろな発見があるんですよ。V8エンジンと組み合わされたPHEVなので、静止状態からの発進はモーターだけの力で、それこそフワッ、スーッとサルーンの高級車のように静かに走り出します。

 

Esquire : さっきアイドリングしている時は凄い音を響かせていましたけど?

 

日比 : バッテリー残量や速度域によって、電気とガソリンのどちらを使うか、モードが選択できるそうです。普通に走っている分には当然、車の方で必要に応じて自動的に切り替わりますが、早朝に出かける時は近所のこともあるし、やはり電気モーターで出かけたいじゃないですか。街中を抜けて高速道路に入って、速度域が変わると無論、エンジンが仕事し始めますけど、車内にいる限りは動力源が切り替わっても、音はそんなに大袈裟に感じられないほど静かでした。

 

Esquire : 帰宅する時も電気がいいですよね?

 

日比 : そういう時は、事前にエンジンからバッテリーに貯めるモードにすれば、自宅の手前から電気だけで走れます。

 

Esquire : なるほど。では基本的にはモーターとエンジンの協調制御なんですね。

 

日比 : 街中でなければV8がメインに動力源となるのですが、これが 大きなボディや車重を忘れさせるほどよく走る。加速だけじゃなくて、止まる・曲がるも含めて、ドライバーが車を生き生きと走らせられます。

 

Esquire : 重量は2.7トンと聞いています。にわかには信じがたいです。

 

日比 : それが、重心を上手くコントロールしてBMWらしく走らせるソフトウェアというか、制御が組み込まれているんだそうです。

 

──THE XM Labelには、パワートレインを協調制御するだけでなく、車体の姿勢や動的バランスを統合制御するするヴィークルダイナミクス・コントロールが備わっている。

 

ステアリングやアクセル開度、ブレーキの強さやサスペンションなど、ドライバーの操作を素早く反映させるだけでなく、意志をくみ取って最適解を導き出すアルゴリズムは、BMW Mの長年のノウハウという他ない。

 

しかもそのV8エンジンは、多気筒ユニットに起きがちな排気干渉を避けるため、クロスバンクフローを採り入れ、低回転域から滑らかで素早い吹け上がりをもたらしている。

Toshiyuki Imae

電気とV8エンジン、それぞれの楽しみとバランス

Esquire : なるほど。確かにこちらは限定車ですが、THE XMの通常シリーズも2026年モデルからはパーソナライズ&カスタムできる範囲が広がったそうなので、’Myヴィンテージ’な感覚が大切なんでしょうね。ただ車の場合、走りが占めるところが大きいと思うのですが、それは古びてしまわないですか?

 

日比 : それが、乗ってみるといろいろな発見があるんですよ。V8エンジンと組み合わされたPHEVなので、静止状態からの発進はモーターだけの力で、それこそフワッ、スーッとサルーンの高級車のように静かに走り出します。

 

Esquire : さっきアイドリングしている時は凄い音を響かせていましたけど?

 

日比 : バッテリー残量や速度域によって、電気とガソリンのどちらを使うか、モードが選択できるそうです。普通に走っている分には当然、車の方で必要に応じて自動的に切り替わりますが、早朝に出かける時は近所のこともあるし、やはり電気モーターで出かけたいじゃないですか。街中を抜けて高速道路に入って、速度域が変わると無論、エンジンが仕事し始めますけど、車内にいる限りは動力源が切り替わっても、音はそんなに大袈裟に感じられないほど静かでした。

 

Esquire : 帰宅する時も電気がいいですよね?

 

日比 : そういう時は、事前にエンジンからバッテリーに貯めるモードにすれば、自宅の手前から電気だけで走れます。

 

Esquire : なるほど。では基本的にはモーターとエンジンの協調制御なんですね。

 

日比 : 街中でなければV8がメインに動力源となるのですが、これが 大きなボディや車重を忘れさせるほどよく走る。加速だけじゃなくて、止まる・曲がるも含めて、ドライバーが車を生き生きと走らせられます。

 

Esquire : 重量は2.7トンと聞いています。にわかには信じがたいです。

 

日比 : それが、重心を上手くコントロールしてBMWらしく走らせるソフトウェアというか、制御が組み込まれているんだそうです。

 

──THE XM Labelには、パワートレインを協調制御するだけでなく、車体の姿勢や動的バランスを統合制御するするヴィークルダイナミクス・コントロールが備わっている。

 

ステアリングやアクセル開度、ブレーキの強さやサスペンションなど、ドライバーの操作を素早く反映させるだけでなく、意志をくみ取って最適解を導き出すアルゴリズムは、BMW Mの長年のノウハウという他ない。
Esquire : 機械として、すごく洗練されているんですね。

 

日比 : ええ、電気によるトルクもパワーも制御もいいけど、またV8エンジンならではのレスポンスの鋭さ、伸びもすごいんです。電気も使い方によっては高級感を醸し出せるんだなと思いました。

 

Esquire : 機械式時計を扱っている日比さんが、電気の部分を評価するのは、意外といえば意外ですね。

 

日比 : そこに加えて、BMW Mならではの内燃機関テクノロジーの集大成だからこそ、ヴィンテージだと感じるんですね。乗り手の用途に密というか、即している。時計で言うところの、自動巻きの良さにも通ずる世界観、魅力に近いかもしれません。

 

Esquire : 確かに手巻きの時計ではないでしょうね。エンジン自体の存在感は、どういうところで感じられましたか?

 

日比 :ある程度、アクセルを踏み込んでいった時。しっかりした音というか、グイグイとリニアな加速をともなって高まっていくエンジンサウンドが、気持ちよかったですね。ヴィンテージって、ただ古いという意味じゃなくて、その昔から積み上げてきて、未来にも残るであろう根っこの部分、集大成だと思います。

 

Esquire : なるほど。

 

日比 : このV8エンジンには、BMW Mがモータースポーツに勝つために積み上げてきたもののすべてが遺されている。そうしたテクノロジーを正確なハンドリングやフラットな乗り心地と一緒に味わえること。日常の中で自分が操れて、一緒にいい時間を過ごせるという点が、ヴィンテージの感覚と相通じるんでしょうね。
しかもそのV8エンジンは、多気筒ユニットに起きがちな排気干渉を避けるため、クロスバンクフローを採り入れ、低回転域から滑らかで素早い吹け上がりをもたらしている。

 

[Staff]
Photo / Toshiyuki Imae
Text / Kazuhiro Nanyo
Edit / Ryuta Ikegami(AM5:00)

 

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